脳の進化

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脳細胞 シナプス


 脳の進化

 人間の本質は脳にある

 「朝は4本足、昼は2本足、夕方は3本足で歩く動物は何か」怪獣スフィンクスの問いかけに、勇士オイディプスは「それは人間だ。赤ん坊は手足を使ってはい、成長すると2本足で歩き、老人になると杖をついて歩く」と答えたという。

 ギリシャ神話のこの一章は、人間の生涯の外面的変化を見事に描いている。しかし、形の上だけで人間の本質は特徴づけられるものではない。

 私たちが知識を積み、知識を高め、思考を産み、行動を起こしているのは、すべて脳の働きによる。したがって脳の仕組みにこそ人間の本質はあるはずである。

 脳の進化には段階がある

 脳は神経系の最高中枢であり、動物の中では、人間が最もよく発達している。そこで脳の働きを調べ人間の本質を探るためには、脳・神経系の進化発達の状況を見ることがたいへんな助けになる。

 人間をはじめ、あらゆる動物の行動は、究極的には、刺激に対する反応として理解できる。しかし、反応の型式には種々の段階があり、その基盤である脳・神経系の構造と働きにもそれに見合う進化の程度がある。


 下等動物の脳・神経系

 アメーバ

 構造が単純である
 アメーバは単細胞動物であり、刺激に反応していろいろな行動はするが、細胞の中に刺激を受けとめたり、運動をする特別な構造は見られない。

 細胞の分業はない
 細胞全体が刺激を受けとめるし、偽足を出して運動をする。消化や排泄や呼吸なども行っている。

 イソギンチャク

 細胞が分化する
 多細胞の空腸動物になると、刺激を受けとめることを専門にする感覚細胞や、運動を専門に分担する筋肉細胞が分化発達してくる。

 介在細胞ができる
 感覚細胞と筋肉細胞を結びつけて、仲を取り持つ介在細胞もできてくる。この介在細胞が神経細胞の原型である。

 クラゲ・カイメン

 神経網ができる
 クラゲやカイメンでは、たくさんの神経細胞がお互いに突起を出してからみあい、複雑な網状になって、身体中に広がっている。これを神経網という。

 中心になる細胞はない
 神経網には、中心的な働きをする細胞があるわけではなく、刺激が感覚細胞で受けとめられると、神経の信号になって神経網の中を駆け巡り、最後に筋肉細胞に送り届けられて運動がおこる。

 ミミズ・ヒル

 神経節ができる
 ミミズやヒルのような環形動物になると、神経細胞が集まってかたまりをつくる。これを神経節という。神経節は身体の縦の方向に並んで、お互いに突起を出し、数珠状、はしご状になっている。

 統合作用が表れる
 神経節は信号をただ伝えるという反射作用ではなく、この中で信号を処理案配し目的にかなった運動の命令を筋肉へ送り出している。この巧妙な処理案配の仕組みを統合作用という。

 タコ・イカ・昆虫

 脳神経節
 神経節の型式は、タコやイカのような軟体動物や、ハチやアリのような昆虫の神経系であり、頭部にある神経節は他のものより大きく、よく発達しているので脳神経節と呼んでいる。しかし、脊椎動物の脳とは構造が根本的に違っている。

 地方分権的な仕組み
 神経節の型式の神経系では、一つ一つの神経節がかなり独立した働きをもっている。脳が特に全体を統御しているというのではなく、いわば地方分権的な統合作用をしているといえる。

 カイコの蛾は頭を切り落としても、腹部にある神経節だけで卵を産みつけることができる。

 カマキリは頭を切り落としても、触るとカマを立てる。

⇒ 脊椎動物の脳・神経系




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