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本能 集団欲


● 集団欲 ● 孤独感とは ● 孤独と健康

 基本的本能 集団欲

 集団欲とは

@ 基本的な本能の欲求
 人間や動物は、孤独をいやがり、群れをつくって生活しようとする欲求がある。生まれながらに備わっている心であって、本能の一つである。集団本能、群居本能あるいは集団欲という。

 個体を維持し、種族を保存するための食欲や性欲などの本能の欲求も、集団欲に支えられて初めて、より能率的にかなえられるのである。従って、集団欲は一番基本的な本能の欲求といえよう。

A 相寄り、相集まる心
 私たちは人間関係とか人間疎外という言葉を口にする。人間関係がうまくいっている時には親しさを感じ、うまくいっていない時には寂しさを体得する。これは私たちに集団欲があるからである。

 友達といい、恋人ということも、お互いに親しみ合い愛し合う心があって成り立つことである。家庭・社会・国家・民族と形式や規模は違うが、人間はなんらかの集団にまとまろうとし、集団として行動しようとする。すべて集団欲のしからしめるところである。

B 集団欲の仕組みは分からない
 この欲求の心が、どこで発現されるのかはまだ分かっていない。しかし、食欲や性欲と同じように、その座が「古い皮質」にあって、視床下部もまた孤独を感受するために、重要な役割をしていると考えられている。集団欲の細かい生理学的な仕組みについての証明は、将来の研究にまたねばならない。

 集団欲を満たすために

@ ダイコクネズミの孤独
 集団欲がかなえられない状態のときに、孤独や寂しさを感じる。孤独が人間や動物で肉体的、精神的に異常状態をもたらすことはいろいろ調べられている。

● ダイコクネズミを群れから一匹だけ取り出して、孤独な環境のもとで飼育すると、数週間で神経質になり、粗暴になって噛みついたりしだす。

● 12週間も続けると、手に負えない状態になり、皮膚に炎症が広がってくる。この頃に、病理解剖してみると、内分泌線が肥大したり、萎縮したりしているという。

● このような精神的、肉体的に異常になったものも、群れに帰してやると3週間もすると健康な状態を取り戻す。
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A 孤独は苦痛である
 人間についても、同じような実験が行われている。外部との交渉はできるだけ少なくし、光や音や皮膚感覚なども可能な限り少なくし、身体の運動、言葉を話すこと、歌を歌うことも禁止すると、数十時間で幻覚がおこり狂乱状態になるという。

 脳波で調べてみても異常な波ができて、正常な環境に帰っても、精神状態や脳波に異常が続くという。こういうことは探検隊の記録にも見られるし、太平洋をヨットで横断した堀江謙一氏の手記の「…なによりも苦しかったのは孤独に耐えることだ…」という文句に、はっきりと表れている。

B スキンシップの効用
 食欲を満たすためには食事を、性欲を満たすには性行為を営むが、集団欲を満たすためには、スキンシップー肉体と肉体の接触ーが一番基本的な手段である。私たち人間は、見たり聞いたりで、あるいは言葉や文字でお互いの人間関係をつくって集団欲をかなえている。

 しかし、手紙を交わしたり、話し合ったりするよりは、手を握ったり肩をたたいて、あるいは抱き合ったり、頬ずりをするほうがはるかに心の一体化、同体化がはかれる。ダイコクネズミの実験では、1日にうちに5秒間取り出して皮膚にさわってやることを続けると、異常状態の起こり方が、ずっと遅れるという。

C 精神の栄養失調を防ぐ
 目も見えない、耳も聞こえない、文字も言葉もわからない赤ちゃん動物には、とくにスキンシップの効果は大きい。赤ちゃんの保育には、おっぱいを十分に与えることも大切であるが、もっと重要なことは、母親や保育者との皮膚と皮膚との接触である。

 集団欲が人間の本能的な欲求であるとすれば、赤ちゃんが無言で求めている集団欲を十分にかなえてやることができないと、それは精神の栄養失調を起こすもとになる。情緒の不安定をきたし、ひいては性格にゆがみ、非行への芽生えにもなる。

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