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老化 壮年期



 

 老化現象

 壮年期を過ぎた40歳代から人間のからだには、外観、機能の両面にわたって若いときとは違った変化が目立ってくる。この老化現象は個人差が大きい。また、年齢を重ねることからくる真の老化と、病気などによっておこる老化とが区別されにくいのが特徴である。

@ 皮膚は40歳ころからしわが深まり、弾力はなくなり、血色も乏しくなる

● しわは皮下脂肪の減少、皮下組織の委縮にたいし、皮膚自体の表面積がそれほど変わらないために起きる。
● 皮膚の弾力性が失われるのは、皮膚の成分である弾性線維が切れたり、変化をおこすためである。

● 皮膚の血色の乏しい貧血状を呈してくるのは、皮膚のなかに走っている毛細血管の数が減少するためである。

A 毛髪は白髪となり、あるいは毛が抜けて禿げるが、個人差が大きい

● はげにはホルモンの分泌作用が関係している。
● まゆ毛、耳の穴のなかの毛などが太く長くなることがある(老人性剛毛)。

B 視力は20歳ころを最高として、以後だんだんおとろえ、調節力の低下から老眼となる。そこひ、角膜のにごりがあらわれることもある
 
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● 目の調節力(近点調節力)とは、近いものをみるとき、それに水晶体(眼のレンズ)のピントを合わせる能力のことである。
● 老眼とは、この能力が低下して近くのものがはっきり見えなくなることで、その原因としては水晶体の弾力性の低下が考えられる。

● 老眼には個人差がわりあい少ない。
● そこひ(老人性白内障)は、水晶体を構成する物質の変化で水晶体がにごり、光をとおしにくくなることによる視力低下である。

● 角膜(くろ目)の周囲に、脂肪などが沈着してにごるのを老人環とよぶ。目のはたらきにはあまり関係ない。

C 聴力も20歳ごろから徐々に衰え、やがて老人性難聴となる。とくに低音より高音にたいする聴力低下が目立つ

● 老人性難聴は、程度の差はあっても誰にもおとずれる。
● おもな原因は、音を感じ取る内耳のコルチ器官や、それからさらに音の刺激を脳に伝える蝸牛神経伝導路などの機能低下による。

D 筋力は低下し、運動・知覚神経もおとろえてくるので、身体のバランス能力や反射運動がにぶる

● 筋力は、短時間に大きい力を必要とするもの(疾走・高とび)の低下が目立つが、長時間にわたって少しずつ力を出すもの(ハイキング・ゴルフ)の能力低下は少ない。

● 横紋筋(手足など随意に動かせる筋肉)より、平滑筋(胃腸・血管壁の筋肉のように随意に動かせないが、生命維持に重要な筋肉)のほうが機能低下は少ない。

● 知覚の面では、触覚・温覚・痛覚などの身体の保護、防御に必要な感覚は比較的おとろえない。しかし、振動の感覚など比較的複雑な知覚の低下がいちじるしい。

● 神経と筋肉が一体となってはたらく身体の平衡維持能(バランスをたもつ能力)の低下としては、たとえば、目を閉じ片足だけで立っている時間を検査すると、若年者と老年者間に大きな差があり、老人はすぐふらついてしまう。

● また、神経と筋肉のはたらきによる反射運動の低下として、たとえば、ネオンランプがついたらすぐにボタンを押すまでの時間を測定すると、若年者より老年者のほうが長時間を要する。

E 骨は関節の弾力性がなくなり、骨そのものもタンパク質成分の減少で弱くなる

● 骨、関節に長年にわたって力が加わる結果、関節の軟骨の弾力性が減少する。
● さらに軟骨や骨の一部がなくなったり、新しくべつのところに軟骨や骨が増殖したりする。この関節の変形(変形性骨関節症)で関節痛がおこることがある。
 
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● 骨は、骨基質(タンパク質成分)にリン酸カルシウムや水酸化カルシウムなどの無機成分が沈着してできている。老齢につれ骨が弱くなる(骨粗鬆症)のは、骨基質の減少と無機成分の現象がおこるからである。

● その結果、骨の変形や骨折をおこしやすく、また腰痛の原因ともなる。
● 背中や腰が曲がるのは、変形性骨関節症や骨粗鬆症による脊椎の変形と、脊椎をまっすぐ伸ばすための筋肉の力が低下するためである。

F 循環器系の老化は、血圧の上昇、心臓の肥大、動脈硬化となってあらわれる

● 血圧は、収縮期血圧(最大血圧)・拡張期血圧(最小血圧)ともに高くなる。とくに、きわだって高いばあいは高血圧症で、病気として扱われる。
● いっぱんに臓器は、老年とともに委縮し重量が減ずるが、心臓はぎゃくに重量をます。これは動脈硬化などで血液を送り出す心臓の負担が増大し、その結果心臓が肥大したものと考えたほうがよい。

● 動脈硬化は、動脈壁に脂肪様のもの(コレステロール)がたまり、また、動脈壁に石灰が沈着したりして、壁の弾力性が低下した状態をいう。こうなると壁の内面がくずれたりせまくなったりする。

● 動脈硬化のおもな原因は、脂肪、とくに飽和脂肪酸(獣肉の脂肪に多い)のとりすぎによると考えられる。
● 動脈硬化が進むと、脳卒中・脳軟化・心筋梗塞などをまねきやすい。

G 肺活量は20歳代を最高に減少する

● 肺活量の年齢別変化では40歳後半からの減少が目立つ。
● 肺活量が減るのは、呼吸運動を行なっている筋肉(肋間筋・横隔膜)の筋力低下や、胸郭(胸部の骨格)の軟骨の骨化、関節の可動性の減少などによる。

● 年齢が増加すると肺のなかの残気量が増えるので、酸素と二酸化炭素(炭酸ガス)の交換の能率が悪くなる。

H 歯が抜けやすくやり、胃液の酸度も減少するので、消化機能が全般に低下する

● 歯はいっぱんに小臼歯よりも大臼歯から、、下の歯よりも上の歯から先に抜ける傾向にある。
● 歯が抜けた後は、歯ぐきが固くなって、そしゃくをたすけていることが多い。

● 胃のはたらきの低下は、胃液の酸度の減少(無酸症)のほか、胃粘膜の委縮(委縮性胃炎)、空腹時の胃の収縮力の弱まりなどとなってあらわれる。

I 性機能は性腺(睾丸・卵巣)の委縮、性ホルモンの漸減でおとろえていくが、心理的作用の強い性欲は必ずしもそれに比例しない

● 女性のばあいは40歳代後半から50歳前後にかけて、月経閉止(更年期)がおこる。
● 男性ホルモンの産生低下は、精子の産生能力とは必ずしも並行しないようである。精子の産生はかなり高年になっても見られることがある。

● 俗に性ホルモンと性欲・性交能力がよく結びつけて考えられるが、性欲は、心理的、社会的影響を強く受けるので、性腺や性ホルモンの動きとたやすく結びつけて考えることはできない。

J 前立腺は老年とともに肥大し、排尿をさまたげることもある

● 前立腺は、男性の尿道の付け根にあって尿道をとりまいている一つの器官であるが、それがなぜ肥大するかはまだ不明である。

● 経験的には、前立腺肥大が男性ホルモンによって悪化し、女性ホルモンによって軽くなる傾向のあることが知られている。

● 男性ホルモンの産生が低下する老年期に、男性ホルモンによって悪化する前立腺肥大がおこりやすいということは、一見逆説的で注目される。

K 精神機能の老化はその他の身体各部に比べれば遅い。記憶力は低下するが、判断力・推理力はむしろ老年にさかんになる

● 脳の重量は20歳で最高(1350c)になり、50歳ころまでほとんど変わらない。しかし、それ以後、ごくわずかずつ、軽くなる傾向がある。
● これは、脳細胞が委縮してくるためで、細胞のなかの構造も変化して、脳のはたらきが全体としては低下する。

● 老年者の精神能力で特徴的なのは記憶力の低下である。とくに記銘力(新しいことをおぼえる能力)の低下が目立ち、それに比べて追想力(古いことをおぼえている能力)は割合よくたもたれている。

● 年をとるとともに総合的な判断力、推理力などにすぐれた能力をしめす人がかなり多いのは、過去の経験や蓄積した知識がもとになっているからである。

● それゆえ、いたずらに肉体の老化をなげくのが老年期のけんめいな過ごし方ではない。ある意味では、老年期こそ、実り豊かな人生の時期といえる。
 




 



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